白鳥の湖


Vol.1/Vol.2

魂を揺さぶる感動と衝撃の17分間。

 死んだ人間の魂が渡り鳥となって帰って来るという伝説の湖。人はそこにどんな想いを馳せるのだろうか。闇社会の宿命を背負った男と余命幾ばくも無い身重の妻の、哀しく切ない逃避行。輪廻する魂に刹那の望みを託して、ふたりが目指したその先にあるものとは。・・・男と女の、夫と妻の、父と子の、母と子の、冷酷なまでに無常な生き様と狂おしい家族の絆。そして迎える壮絶なラストシーン。生と死と命を浮き彫りにする17分間に、あなたは目を離せない。

 わずか17分という短編にして延べ3年の製作期間が費やされた本作。監督・脚本は、同じくわずか6分ながら3年を費やした前作「the rootless wanderer」で、2005年ゆうばり国際映画祭オフシアターコンペティション部門に選出された小野寺昭憲。今回は、自作では実に6年ぶりに主演も兼ねる。そしてヒロインである妻を演じるのは、実生活でも小野寺の妻である真理子。そして無論ふたりの娘役を演じるのは、実の娘である桜華。この徹底した本物指向のキャスティングにより、本作は完璧なまでのリアリズムを演出することに成功している。スクリーンから溢れ出す愛情は、紛れも無く本物の「家族愛」。真実と虚構の垣根を超えた圧倒的な愛が、観る者の心を捉えて離さない。

 また出演者には、「リアリズムの宿」「ばかのハコ船」など一連の山下敦弘監督作品で演技を高く評価されている実力派俳優・山本浩司を始め、Vシネマや舞台で活躍中の初海大、アメリカの舞台を数多く踏んだYUKIYA、「Bidan」「ポパイ」などのファッションモデルから俳優へ転進した麻生光、多方面にわたってフリーで活躍する保田泰志、和高綺里佳、江原しおりといったプロフェッショナルな俳優陣が参加し、作品の世界観を完全に体現。物語を更に奥深いものにしている。

 劇中に流れる繊細且つダイナミックな音楽は、前作「the rootless wanderer」から引き続いて真柴史朗が担当。小野寺監督とは本作で6度目のコラボレートにあたり、音楽監督として既に円熟の域に達した流麗なメロディが、作品を更に叙情的な旋律で包み込む。

 何の為に生きるのか。何の為に死ぬのか。そして何の為に生まれたのか。魂を揺さぶる感動と衝撃の17分間。2005年春、インディペンデント映画に新たなる金字塔が打ち立てられた。


白鳥の湖